企業におけるITリテラシーについて考える
近年、DX(デジタルフォーメーション)の推進や、YouTuberのトラブルなどで「ITリテラシー」が注目されています。特に若い世代は物心ついた時からスマホやパソコンなどのデジタル端末が当たり前のように身近にあり、インターネットやSNSを使っている人も多くいますが、そんな時代だからこそITリテラシーが重要になってきています。今回は企業におけるITリテラシーについて解説いたします。
ITリテラシーとは
そもそもITリテラシーとはどのようなものなのか、厚生労働省が発表した「平成29年度 基礎的ITリテラシーの習得カリキュラムに関する調査研究報告書」の中では以下のように定義されています。
“現在入手・利用可能な ITを使いこなして、企業・業務の生産性向上やビジネスチャンスの創出・拡大に結び付けるのに必要な土台となる能力のこと。いわゆる IT企業で働く者だけでなく、ITを活用する企業(ITのユーザー企業)で働く者を含め、全てのビジネスパーソンが今後標準的に装備することを期待されるもの。
出典:平成29年度 基礎的ITリテラシーの習得カリキュラムに関する調査研究報告書
具体的には、
1. 世の中にどのようなITがあり、それぞれどのような機能・仕組みを有しているか、どのような場面で活用されているかについての理解。
2. 企業・業務の課題解決場面に有用なITを選定し、そのITを操作して目的に適う情報を取得・分析・表現し、課題解決に繋げる能力。
3. ITを安全に活用するための情報セキュリティやコンプライアンスの知識。”
IT(情報技術)を使ったスキルがITリテラシーと呼ばれ、ITリテラシーの中には大きく分けると以下の3つの要素が含まれています。
情報基礎リテラシー
インターネット上などで溢れている多数の情報から正しいものを見極め活用するスキルです。インターネット上にはデマや悪意のある情報も含まれているため、その中から正確な情報を入手する能力のことです。
コンピュータリテラシー
パソコンやスマホ、タブレット端末などのデジタル端末を操作するスキルです。Excelなどの入力操作やメールの受信、送信といった操作の他、クレジットカードの読み取り、バーコードリーダーなどのデジタル端末の操作も含まれます。
ネットワークリテラシー
セキュリティやモラルなど、インターネットやSNSの仕組みを理解し、安全に正しく活用するスキルです。ネットワークリテラシーが低いとSNS上での炎上といった問題が発生する恐れがあります。
ITリテラシーと似たような言葉にデジタルリテラシーというものがありますが、こちらは範囲がデジタル全般となっており、ITリテラシーよりも広範囲の意味合いとなります。
ITリテラシーか低いとどうなるのか
企業として社員のITリテラシーが低いとどうなるのでしょうか? デジタル端末を正しく扱うスキルがないと、作業に時間がかかり人件費などで生産性が低下してしまいます。他にもメールの誤送信による情報漏洩が起こったり、セキュリティの知識不足によりパソコンがウイルスに感染してしまうなどの危険性があります。ネットワークリテラシーが低い社員がSNSに個人情報や機密情報を載せてしまうといったことも考えられます。
このように社員のITリテラシーが低いと企業にとって生産性が下がるだけでなく、企業イメージが落ちてしまうといったダメージにつながりかねません。
ITリテラシーを高めるためには
企業全体でITリテラシーを高めるためには、社員への研修や教育を行うほか、ITリテラシーについて学べる資格取得を推奨することも効果的です。ITリテラシーを高めるのに有用な資格は「ITパスポート試験」や「情報セキュリティマネジメント試験」、「ネットリテラシー検定」などがあります。また、社内のIT環境を見直して使いやすいツールに変更するといったIT環境のアップデートも企業によっては必要かもしれません。
最後に
今回は企業におけるITリテラシーという観点で解説を行いましたが、個人としても子どもに対してもデジタル端末を扱うすべての人にとってITリテラシーは必要なスキルではないでしょうか。
筆者Y.S