私たちの移動を変える未来型交通手段!自動で走る次世代モビリティ「iino」について解説

近年、技術革新は私たちの想像を超えるスピードで進んでいます。特に、自動車産業における「CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)」といったキーワードに代表される変化は、単なる移動手段の進化に留まらず、私たちのライフスタイルや都市のあり方そのものを変えようとしています。そんな中、既存の概念にとらわれない斬新な発想で、新たなモビリティ体験を創造しようとしている企業があります。「ゲキダンイイノ合同会社」が開発する、自動で走る次世代モビリティ「iino(イイノ)」です。「iino」は、単に人を運ぶ乗り物としてだけでなく、私たちの社会活動やビジネスに新たな可能性をもたらす、ユニークな存在として注目を集めています。今回は、この革新的なモビリティ「iino」について解説していきます。
iinoとは
「iino(イイノ)」は、ゲキダンイイノ合同会社が開発した、時速5kmで自動走行する次世代モビリティで、人の手を借りず自動で走行する革新的な乗り物です。最大の特徴は、演出性と利便性を兼ね備えた“動く舞台装置”としての設計で、エンタメや観光、地方イベントなど多用途に活用可能です。屋内外を問わず自律走行し、遠隔操作やプログラミングによって移動ルートの制御も可能。従来のモビリティと異なり、人と環境との新しい関わりを創出することを目的とした、まさに未来型の移動手段といえます。
▼ゲキダンイイノ合同会社のYouTubeチャンネルで紹介されています
ゲキダンイイノ合同会社とは
「iino」の開発・運営を手掛けるのは、2020年に設立されたゲキダンイイノ合同会社です。同社は関西電力の100%子会社であり、関西地域を中心に新しい移動体験を提供することを目指しています。モビリティを単なる交通手段ではなく、体験や時間の価値として捉えるビジョンを持ち、地域と連携した持続可能な社会の実現に取り組んでいます。
ゲキダンイイノ合同会社公式サイトはこちらからチェック
iinoの革新的な技術

「iino」が革新的とされるのは、以下のような技術的・設計的特徴にあります。
低速自動走行(時速5km)
歩行者と同じ速度で移動するため、街の景観を楽しみながら安全に移動できます。
高度な障害物検知センサー
LiDARやカメラを使った障害物検知により、安全な自律走行が可能です。
オープンな設計
バリアフリーを意識した低床構造で、乗降のしやすさを追求。高齢者や子どもも安心して利用できます。
環境との調和
モダンで柔らかなデザインが特徴で、都市空間や自然環境に違和感なく溶け込みます。
サステナビリティへの対応
電動駆動により、環境負荷の少ない移動手段として注目されています。
iinoがもたらす未来

「iino」のような次世代モビリティの普及は、私たちの生活や社会に様々な変化をもたらすと考えられます。
都市空間の新たな活用
公園や広場、遊歩道など、これまで移動手段が入り込めなかった公共空間に、「iino」がサービスを運び込むことができます。これにより、空きスペースの有効活用が進み、賑わいや交流が生まれる可能性が広がります。
ラストワンマイル問題の解決
駅から自宅まで、あるいは店舗から顧客までといった、物流や移動における最後の区間(ラストワンマイル)の課題解決に貢献します。特に、高齢者や買い物弱者にとって、自宅近くまでサービスが届けられることは大きなメリットとなります。
新たなビジネスモデルの創出
移動販売、ポップアップストア、移動オフィス、移動広告塔など、「iino」の特性を活かした多様なビジネスが生まれる可能性があります。初期投資を抑えながら事業を開始したり、顧客のいる場所にサービスを届けたりすることが容易になります。
地域コミュニティの活性化
「iino」が地域のイベントや祭りに参加したり、地域住民が集まる場所として機能したりすることで、コミュニティの活性化に貢献します。移動図書館や移動診療所といった公共サービスとしての活用も考えられます。
インクルーシブな社会の実現
自動運転による移動支援は、高齢者や障がいを持つ方など、従来の移動手段に制約があった人々の活動範囲を広げ、社会参加を促進します。
実用化が進むiino
「iino」は実証実験の実績や導入例も数多くあり、実用化に向けた歩みが着実に進んでいます。
<羽田空港第2ターミナル>
ターミナル内の移動手段として「iino」が導入され、スーツケースを持った旅行者の移動をサポートしています。
<高輪ゲートウェイシティ>
都市再開発エリアにおける回遊性向上を目的に、2025年にオープンした高輪ゲートウェイシティに導入されました
<神戸や大阪で行われた実証実験>
神戸の三宮センター街や大阪の御堂筋で、公道による実証実験が実施され、安全性や実用性の検証が行われました。
これらの取り組みにより、「iino」は日本各地の都市や観光地、さらには大型施設での導入が現実味を帯びています。
最後に
次世代モビリティ「iino」は、これまでの交通手段とは一線を画す存在です。人と調和しながら自然に街に溶け込むデザイン、歩行速度で移動できる安全性、そして地域や利用者の多様なニーズに応える柔軟性を兼ね備えています。関西電力グループという強固なバックボーンを持つゲキダンイイノ合同会社によるこのプロジェクトは、日本の都市交通の未来像に大きな影響を与える可能性を秘めています。高齢化社会や環境問題への対策が求められる中、「iino」はその課題解決の一端を担う存在として、今後さらに注目を集めていくことでしょう。
筆者Y.S