NECが公開した「次世代AIエージェント」その未来を切り拓くAI技術とは
生成AI技術の進歩はあらゆる分野で新たな可能性を開き、ビジネスのあり方そのものを変革するほどのインパクトをもたらしています。そんな中、NECが高度な専門業務の自動化を実現する「次世代AIエージェント」の提供を2025年1月から開始すると発表しました。今回発表された「次世代AIエージェント」は生成AIをはじめとする様々なAI技術とITサービスを連携させることで、業務を自律的に遂行する画期的なAIエージェントです。今回はNECが公開した「次世代AIエージェント」についてその特徴や期待される効果などを解説いたします。
次世代AIエージェントとは?
NECの「次世代AIエージェント」は、単なるチャットボットや仮想アシスタントにとどまらず、高度な専門業務を自律的に遂行するAIシステムです。ユーザーが依頼したい業務を入力すると、AIがその内容を理解し必要なタスクを分解、最適な処理方法を決定し、実行までを自動で行うことができます。
主な特徴
<高度なタスク分解とプロセス設計> NEC独自の生成AI「cotomi」が自然言語処理の能力を駆使し、ユーザーの依頼を正確に理解します。さらに依頼内容をタスクに分解し、それぞれに必要な業務プロセスを設計します。
<複数のAIとITサービスの連携> 各タスクに最適なAIやITサービスを選択して組み合わせることで、複雑な業務にも対応します。
<包括的な情報検索と自動化> 社内外の情報を検索し、意思決定が求められる業務を自動化します。例えば、経営計画やマーケティング戦略の策定に必要な情報収集・分析を効率化します。
<自律的な学習> 実行結果に基づいて、AI自身が学習し、より効率的な処理方法を習得していきます。
活用事例と期待される効果について
NECは、第一弾として、経営計画、人材管理、マーケティング戦略など、社内外の情報を総合的に検索して意思決定が求められる業務の工程を自動化するサービスを提供する予定です。例えば、「キャリア採用者の育成戦略を作りたい」と入力した場合、AIエージェントは、この指示から最終的な成果物を育成計画書として設定し、社内外の情報収集、分析、プログラムの生成や実行など、複数のタスクに分解します。そして、cotomiをはじめとした大規模言語モデル(LLM)や、社内外の検索エンジン、NEC独自の図表文脈理解機能などを組み合わせ、育成計画書を作成します。AIエージェントを活用することで、高度な専門知識がなくても、依頼したい業務を入力するだけで成果が得られるため、経営計画や人材管理、マーケティング戦略など、企業経営や業務運営に関わる高度な専門業務において大幅な効率化が期待できます。これにより、業務効率が大幅に向上するだけでなく、人材不足やコスト削減といった課題にも対応しています。
社会に与える影響と今後の展望
NECの「次世代AIエージェント」の登場は、私たちの働き方やビジネスの在り方を大きく変える可能性を秘めています。その影響は実に広範囲にわたります。
高度な専門業務の自動化により、企業の生産性が向上します。さらには人工知能が専門的な知識や経験を必要とする業務を自動化することで、人々はより創造的な仕事に集中できるようになります。また、AIが大量のデータを分析し、最適な選択肢を提示することで、より質の高い意思決定を支援します。
今後、様々な分野でAIエージェントが活用されることで、私たちの社会はより効率的で、創造性に溢れたものへと変わっていくことが期待されます。NECは2025年度末までに生成AI関連事業で約500億円の売り上げを目指しており、さらに業務や機能に特化したAIエージェントの開発を進めています。例えば、医療分野での診断支援、製造業における生産ラインの最適化、金融分野におけるリスク管理など、その応用範囲は広がると考えられます。
最後に
NECの「次世代AIエージェント」は、AI技術を活用して社会や企業の課題解決を目指す画期的なソリューションになっています。生成AI「cotomi」を中心に多彩な技術を組み合わせることで、業務の効率化や生産性向上を実現するこの技術は、企業の競争力強化だけでなく、社会全体の進化にも貢献する可能性を秘めています。今後の展開と、「次世代AIエージェント」がどのように社会に影響を与えるのか、引き続き注目していきたいですね。
筆者Y.S