【日本初】日本語で動画生成! 商用利用OKのAIモデル「AIdeaLab VideoJP」無償公開
動画制作がかつてないほど身近になりつつある現在、AIの力を活用した動画生成技術が急速に進化しています。そんな中、株式会社AIdeaLabが日本初の日本語対応動画生成AI基盤モデル「AIdeaLab VideoJP」を商用利用可能かつ無償で公開し話題となっています。今回は「AIdeaLab VideoJP」の特徴や今後の可能性などについて解説いたします。
AIdeaLab VideoJPとは
「AIdeaLab VideoJP」は、日本のAIスタートアップAIdeaLabが開発した動画生成AIモデルです。このモデルの最大の特長は、日本語に特化した設計であることです。これにより、テキストから動画を生成する際、日本語独自のニュアンスや表現を正確に反映することが可能となっています。
「AIdeaLab VideoJP」は、経済産業省とNEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)が推進する「GENIAC(Generative AI Accelerator Challenge)」プロジェクトの一環として開発されました。このプロジェクトは、日本の生成AI開発力を強化することを目的としており、「AIdeaLab VideoJP」はその成果の一つと言えるでしょう。
AIdeaLab VideoJPの特徴
日本語対応の動画生成
これまでの動画生成AIモデルは英語を主軸に設計されているものが多く、翻訳ソフトを使ってプロンプトを作成する工程において正確な表現が難しいケースがありました。しかし、「AIdeaLab VideoJP」は日本語対応を前提に開発されており、日本語の細かいニュアンスや文脈を正確に理解し、動画に反映します。もちろん英語にも対応しています。
フルスクラッチ開発
「AIdeaLab VideoJP」は既存のモデルをベースにするのではなく、完全にゼロから開発されたフルスクラッチモデルになっています。学習データやアルゴリズムの透明性が高く、著作権などに配慮されているため、安心して利用できます。
Rectified Flow Transformerアルゴリズムの採用
最新のAI技術であるRectified Flow Transformerアルゴリズムを採用することで、より自然で滑らかな動画生成を実現しています。このアルゴリズムは、従来の拡散モデルと比較して、より効率的に学習を進めることができるという利点もあります。
商用利用可能かつ無償公開
「AIdeaLab VideoJP」は、商用利用を含めた幅広い用途で無償で利用できます。これにより、企業や個人開発者は、このモデルを自社のサービスやプロダクトに自由に使うことができます。
最小14GBのVRAMで動作
比較的少ないVRAM(ビデオ・ランダム・アクセス・メモリ)でも動作するように設計されており、多くの環境で利用可能です。これにより、高性能なGPUを持たないユーザーでも、このモデルを試すことができるようになっています。
高い柔軟性と拡張性
このモデルは、Hugging Faceというプラットフォームで公開されており、誰でも簡単にダウンロードできます。開発者やクリエイターが自由にカスタマイズして使用でき、また、他のツールやアプリケーションと連携することで、さらなる可能性を引き出すことができます。
AIdeaLab VideoJPのデモを体験してみよう!
こちらのサイトからAIdeaLab VideoJPのデモを体験することができます
▼デモでは決まったプロンプトを試してみることができます
▼いくつかのサンプルプロンプトが用意されています
↓試しにこちらのプロンプトで動画を生成してみました
プロンプト「チューリップや菜の花、色とりどりの花が果てしなく続く畑を埋め尽くし、まるでパッチワークのようにカラフルに彩る。朝の柔らかな光が花びらを透かし、淡いグラデーションが映える。風に揺れる花々をスローモーションで捉え、花びらが優雅に舞う姿を映画のような演出で撮影。背景には遠くに連なる山並みや青い空、浮かぶ白い雲が立体感を引き立てる。」
▼プロンプトを選択して「生成」をクリックします
▼数秒ほどで動画が生成されました
▼生成された動画がこちら(生成した動画はダウンロード可能)
↓次は英語で記載されているプロンプトも試してみます。
プロンプト「The waves crash against the jagged rocks of the shoreline, sending spray high into the air.The rocks are a dark gray color, with sharp edges and deep crevices. The water is a clear blue-green, with white foam where the waves break against the rocks. The sky is a light gray, with a few white clouds dotting the horizon.」(翻訳:波が海岸線のギザギザの岩に打ち寄せ、水しぶきを空中に高く上げます。岩は濃い灰色で、鋭いエッジと深い亀裂があります。水は透き通った青緑色で、岩に打ち寄せる波の部分には白い泡が立っています。空は明るい灰色で、地平線には白い雲が点在しています。)
▼生成された動画がこちら
▼同じプロンプトで再度生成してみたところ違った動画も生成されました
↓次も英語で記載されていたこちらのプロンプトを試してみます。
プロンプト「A clear, turquoise river flows through a rocky canyon, cascading over a small waterfall and forming a pool of water at the bottom.The river is the main focus of the scene, with its clear water reflecting the surrounding trees and rocks. The canyon walls are steep and rocky, with some vegetation growing on them.」(翻訳:岩だらけの渓谷を透き通ったターコイズブルーの川が流れ、小さな滝を流れ落ちて底に水たまりを形成します。川はシーンの主な焦点であり、その透明な水が周囲の木々や岩を反射しています。峡谷の壁は急峻で岩が多く、その上には植物が生えています。)
▼生成された動画がこちら
▼こちらも同じプロンプトで再度生成してみたところ、雰囲気の違う動画が生成されました。どちらの動画もプロンプトに沿ったものが生成されています。
動画の画質が少し荒く、プロンプトによってはほとんど動かない動画が生成されたりといったケースもありましたが、AIdeaLabの公式ブログによると「今後もユーザーからのフィードバックを活かしてより良いサービスを提供を目指す」とありました。また、「AIdeaLab VideoJP」は現在、アニメ生成はできませんがアニメ生成についても別途開発中だそうです。今後の発表に期待したいですね。
AIdeaLab VideoJP 公開の背景
「AIdeaLab VideoJP」が公開された背景には、動画コンテンツの需要増加と、日本語対応AIモデルの不足があります。近年、動画市場は爆発的に成長しており、YouTubeやTikTokなどのプラットフォームでの利用が日常化しています。しかし、これまでのAIモデルは英語を中心に設計されており、日本語利用者にとってはハードルが高い状況が続いていました。AIdeaLabはこうした課題を解決するため、日本語対応に特化したモデルの開発を進め、今回の公開に至りました。また、商用利用を可能にすることで、日本企業やクリエイターの活動を支援し、日本の動画市場のさらなる成長に貢献する狙いもあります。
最後に
株式会社AIdeaLabが開発した「AIdeaLab VideoJP」の無償公開は、日本の動画生成AIの発展にとって大きな一歩と言えます。日本語対応、商用利用可能、そして無償公開という点は、多くの企業や個人開発者にとって大きなメリットです。今後もユーザーからのフィードバックを積極的に取り入れ、より使いやすく、より有用なモデルへと進化していくことが多いに期待されます。動画制作に興味がある方は、この機会にぜひ「AIdeaLab VideoJP」を試してみてはいかがでしょうか?
筆者Y.S