国土交通省が推進するプロジェクト「PLATEAU(プラトー)」その概要と活用法などを解説
近年、都市の課題解決や持続的な発展に向けて、3D都市モデルの活用が注目されています。都市の3Dデータを活用し、スマートシティの実現を目指すプロジェクト「PLATEAU(プラトー)」をご存知でしょうか?今回は国土交通省が推進するプロジェクト「PLATEAU」についてご紹介します。
PLATEAUとは?
プロジェクト「PLATEAU」は、国土交通省が主導する都市の3Dデータ整備プロジェクトです。都市の詳細な3Dモデルを作成し、公共や民間で幅広く活用できるようにすることを目的としています。このプロジェクトは、都市計画、災害対策、環境保全などさまざまな分野での応用を目指しています。
「PLATEAU」の3DデータにはGIS(Geographic Information System)と呼ばれる地理情報システムの概念も含まれます。GISには地図データに加え標高データや人口統計データ、気象データ、不動産データなどの情報が含まれており、GISではそれらのデータを使って空間分析を行ったりシミュレーションを行うことができます。
「PLATEAU」のデータはオープンデータとして公開されており、誰でも自由にアクセスして利用できます。これにより、さまざまな分野での創造的なアプリケーション開発が促進されます。
▼「PLATEAU」の紹介動画(公式YouTubeチャンネルより)
PLATEAUの活用法
「PLATEAU」は街づくりの一環や、防災のためのツールづくりなど様々な分野で活用されており、公式サイトでもたくさんの事例が公開されています。ここではその一部をご紹介します。
防災、防犯
3D都市モデルを活用した建物振動シミュレーションシステムの開発
3D都市モデルを利用して建物の振動シミュレーションシステムを開発。このシステムは、地方自治体の職員など非エンジニアでも簡単に地震の影響をシミュレーションできるようにすることで、災害対策を効率化することを目的としています。
(引用元:PLATEAU WEBサイト)
ARを活用した災害リスク可視化ツール
時系列で変化する浸水範囲に応じた避難ルートの検索システムとARアプリケーションを通じて、水害リスク及び適切な避難行動を3D都市モデル上で可視化するツールを開発。災害リスクの事前把握と住民の災害に対する意識向上を促すのが目的。
(引用元:PLATEAU WEBサイト)
観光
歴史・文化・営みを継承するメタバース体験の構築
3D都市モデルを活用して高品質でコスト効率の良いバーチャルスペースを京都の先斗町や祇園などを対象として制作され、ユーザーが空間内を散策できるメタバースサービスを開発。実証実験が行われました。実用化されることで、歴史・文化への関心を高めたり、歴史・文化資源の保全や継承につながることも期待されます。
(引用元:PLATEAU WEBサイト)
街づくり
地下街データを活用したナビゲーションシステム
東京駅エリアと品川・高輪エリアを対象に、地上と地下を統合したデジタルツイン基盤を構築し、3Dナビゲーションシステムを開発しました。これにより、来街者への情報配信や災害時のナビゲーションを提供し、エリアマネジメントの高度化を目指しています。
(引用元:PLATEAU WEBサイト)
まちなかウォーキングのための健康アプリ
健康増進を考慮したウォーキングコースを提案するために、3D都市モデルを活用しています。アプリは、高低差、歩道、階段などのデータを使用して、適切な運動量を提供するコースを作成します。岐阜市で住民を対象にアプリのテストが行われ、ウォーキングに対する意欲向上につながる旨の意見が得られました。
(引用元:PLATEAU WEBサイト)
WEBブラウザで体験
「PLATEAU」のWEBサイトでは、パソコンのブラウザで「PLATEAU」のデータをプレビューできるブラウザベースのアプリ「PLATEAU VIEW」が公開されています。特別なソフトや知識など必要なく簡単に3D都市モデルを体感することができるアプリです。
↓PLATEAU VIEWはこちらから体感できます
https://plateauview.mlit.go.jp/
その他の様々な公開情報
(引用元:PLATEAU WEBサイト)
「PLATEAU」の公式サイトでは3D都市モデルデータの基本的な使い方のほか、3D都市モデルを使ってゲームを作ることで位置情報の扱い方を学べるトピックや、自治体に向けて「PLATEAU」を使ったプロジェクト立ち上げのための開発ガイドなど、様々な分野での活用法などが公開されています。
▶︎▶︎3D都市モデルを使った位置情報共有ゲームを作る
https://www.mlit.go.jp/plateau/learning/tpc23-1/
▶︎▶︎ユースケース開発ガイド:自治体編
https://www.mlit.go.jp/plateau/learning/ucg00/
最後に
今回は国土交通省が推進するプロジェクト「PLATEAU」についての紹介でした。新しい建物の建設や既存の建物の解体など都市は常に変化しているので、これに対応するためには、定期的なデータ更新と維持が重要です。国土交通省は、最新技術を駆使してデータの更新を行っていますが、これを効率的に行うための新しい方法や技術の開発が求められています。災害や防犯、観光や街づくりなど様々な分野で活用されている「PLATEAU」、今後も技術の進化とともにさらなる活躍が期待されます。
筆者Y.S