AMIがリリースした「クラウド超診®︎」遠隔医療支援システムとは?
2024年4月にAMI株式会社より遠隔医療支援システム「クラウド超診®︎」が公開されました。IT技術を使った「クラウド超診®︎」とは一体どのようなものなのでしょうか?
「クラウド超診®︎」とは?
「クラウド超診®︎」はデジタル聴診器を使って聴診音を可視化し、心音・心電の情報をクラウド上にアップし医師と共有することで専門医による遠隔サポートを受けられるサービスです。
2023年にAMIより、遠隔医療支援システムとして「遠隔聴診読影サービス」のベータ版がリリースされていましたが、機能とサービスの改善が行われ、2024年4月に「クラウド超診®︎」として正式にローンチ(公開)されました。
AMIは九州にある研究開発型のスタートアップ企業で電子工学や音響工学、AI技術を活用した医療機器の開発、遠隔医療サービスの提供を行っている企業です。
「クラウド超診®︎」でできること
「クラウド超診®︎」の概要について公式ホームページでは以下のように記載されています。
「クラウド超診®︎」の概要
引用元:AMI公式ホームページより
遠隔医療支援システム『クラウド超診®︎』は、『心音図検査装置AMI-SSS01シリーズ』で取得した心音・心電をクラウド上にアップロードすることで、波形情報等の解析結果を提示するサービスです。(※本サービスは医療機器ではありません。)
高音質な心音のみならず心音を可視化したデータや心電データを、『クラウド超診®︎』を通じて遠隔の医師に共有することができます。これにより非専門医でも、循環器専門医に聴診の所見を相談することができ、精密検査が必要かどうかといったようなサポートを受けることができます。
心臓の疾患を見つけるために重要な聴診。「クラウド超診®︎」では非専門医であっても、デジタル聴診器を使って取得した心音を可視化したものや心電データをクラウド上で共有することで聴診に精通した医療従事者、循環器専門医などによるサポートを受けることができます。
日本は今、超高齢化社会と言われ、これからも高齢者は増加する傾向にあります。高齢者が増えることで高齢心不全の患者が大幅に増える「心不全パンデミック」が起こると予想されており、「心不全パンデミック」が起こると病院が患者でパンク状態になり医療現場のひっ迫や医療費が増大するなど、様々な社会的問題が起こるとされています。心不全の悪化を防ぐためには早期発見が不可欠で、そのためにはいくつかの検査を行いますが、その中の一つが聴診器で心臓の音を聞く聴診です。
場所を問わずに専門医の元へ行かなくても、「クラウド超診®︎」を使って専門的な意見を得ることができるので、大きな病院の無い地域や、医者が行くことができない被災地などでも活用できるほか、「クラウド超診®︎」が普及すれば場所を問わないことで、より多くの人が検査を受けることができるようになり、心疾患の早期発見にも期待できます。
AMIの遠隔医療
AMIでは「クラウド超診®︎」以外にも遠隔医療で健康増進を目指す予備健診実施実証事業「クラウド健進®︎」のサービスも行っています。「クラウド健進®︎」は「遠隔聴診対応ビデオチャットシステム」を用いた聴診などにより遠隔で健康をチェックできるサービスで、医療機関、自治体、企業などに対してもサービスが提供されています。自宅や近くの薬局など医療機関に行かずとも様々な場所で受診できる健康増進を目的としたサービスです。健診や検診とは違いますが、遠隔医療で特定健診と同項目の検査を実現しています。
AMIでは将来的にクラウド上で医療サービスが提供される「クラウド総合病院」の実現を目指しているそうで、地域によって生じる医療の格差が解消されることが期待されています。
参考サイト:AMI株式会社 公式ホームページ
最後に
IT技術は様々な分野で活用されていますが、医療分野における技術の進化は著しいものがあります。
今回ご紹介した「クラウド超診®︎」を開発したAMIの代表取締役CEOである小川晋平氏はもともと循環器内科医だったそうです。毎日聴診を行う中で、より短時間で正確な聴診が行えることができれば、多くの人を救えるようになるのではないかという思いからAMIを立ち上げ、遠隔医療支援システムの開発を行いました。医師から開発者への転身には、多くの人を救いたいという非常に強い熱意を感じますね。遠隔医療の普及は医療格差を解消し、多くの人が適切な医療サービスを受けるための重要なツールになりそうです。
筆者Y.S