Adobeの画像生成AI「Adobe Firefly」について解説
Adobeより2023年3月にベータ版が発表され、9月には製品版としての正式な提供が始まった「Adobe Firefly」ですが、「Adobe Firefly」とは何か?実際にどのようなことができるのか解説していきます。
Adobe Fireflyとは?
「Adobe Firefly」(アドビ ファイアフライ)は、Adobe独自の生成AIを使った画像生成ツールです。AIが使われたツールといえば以前の記事で「チャットGPT」について解説しましたが、「Adobe Firefly」は画像生成に特化したAIツールになっており、PCのブラウザ版と、Adobe製品であるIllustratorやPhotoshopなどのアプリ内で使えることが大きな特徴です。
Adobe Fireflyでできること
現在(2023年11月現在)「Adobe Firefly」で提供されているサービスは以下の4点です。
– テキストから画像生成 –
ユーザーが入力したテキストから独自の画像を生成します。生成した素材に効果を追加したりと調整もできます。
– 生成塗りつぶし –
加工したい素材をアップロードし、ブラシを使用してオブジェクトを削除したり、テキスト入力によるペイントなどが行えます。
– テキスト効果 –
入力したテキストに対して装飾や効果の追加を行います。ロゴを作成するようなイメージです。
– 生成再配色 –
加工したい素材をアップロードし、色の再配色を行えます。テキスト入力による指示もできます。
今後は、「3Dから画像生成」「テキストからSVGを生成」など様々なサービスが追加される予定です。
料金プランについて
「Adobe Firefly」は、IllustratorやPhotoshopなどのソフトを持っていなくてもAdobe IDがあれば誰でも使うことができます。Adobe IDは無料で登録ができます。ただし、無料プランは月に使える回数がかなり少なく設定されており、Adobe CCのコンプリートプランや単体の各有料プランに加入していれば、そのプランに応じて使える回数がそれぞれ違います。
「Adobe Firefly」では生成クレジットシステムといって、各プランに応じて毎月クレジットが付与され、「画像生成」や「画像拡張」、「生成塗りつぶし」などの機能を使うごとに1クレジットを消費するようなシステムが採用されています。各プランで付与される生成クレジット数は以下の通りです。
プラン | 生成クレジット |
---|---|
Creative Cloud コンプリートプラン(全てのソフトが使えるプラン) | 1,000クレジット |
Creative Cloud 単体プラン(Illustrator、InDesign、Photoshop、Premiere Pro、After Effects、Audition、Animate、Adobe Dreamweaver、Adobe Stock、フォトプラン 1TB) | 500クレジット |
Creative Cloud 単体プラン(Creative Cloud フォトプラン 20 GB、Lightroom) | 100クレジット |
Creative Cloud 単体プラン(InCopy、Substance 3D Collection、Substance 3D Texturing、Acrobat Pro) | 25クレジット |
Adobe Express プレミアムプラン | 250クレジット |
Adobe Firefly プレミアムプラン | 100クレジット |
Adobe IDを持つ無料ユーザー | 25クレジット |
上記に記載しているのは個人向けプランのみです。企業向けプラン、教育機関向けプランについてはAdobeの公式ホームページでご確認ください。
有料ユーザーはクレジット数が0になっても機能を使うことは可能ですが、速度に制限がかかります。使用したクレジットは毎月リセットされ、使わなかったクレジットがたまることはないようです。
商用利用もOKって本当?
「Adobe Firefly」ではAdobeのストックフォト「Adobe Stock」から著作権の問題をクリアした画像や、他にもライセンスフリーな素材を使用するように学習されており、商用利用も可能なコンテンツを作成することが可能です。他にも、差別的な表現や暴力的な表現を除外するポリティカルコレクトネスにも対応しており、どんな企業や団体も安心して使えるようなツールになっています。
Adobe Fireflyの使い方
ブラウザ版Adobe Fireflyの使い方
「Adobe Firefly」のブラウザ版はAdobe製品を持っていなくても、Adobe IDさえあれば誰でも使うことが可能です。
「Adobe Firefly」のサイト にアクセスしてAdobe IDでログイン後、「Fireflyを無料で始める」をクリックすると使えます。
「テキストから画像生成」でその機能を試してみます
プロンプトの部分に生成したい画像のテキストを入力します
↓「自然の中にいるキツネ」と入力してみました
右側に出ている設定で画像の縦横比を変更したり、効果を追加したりすることができます。
↓コンテンツタイプを「アート」にしてみた場合
イラストになりました
↓さらに効果の「ライト」を「微光」に設定してみると
微かな光の夜イメージのイラストに変化しました
↓「ライト」を「ドラマティックな照明」に変更してみます
イメージの違ったイラストが生成されました
↓さらに効果の「合成」を「クローズアップ」に設定してみると・・・
ややアップなイラストになりましたね
↓効果で「彫紙」にチェックを入れて再度生成してみます。
ペーパークラフトのような素材が生成されました
生成した画像はダウンロードして使ったり、AdobeソフトのAdobe Expressで編集することも可能です。
↓各画像の右上に表示される「シェアボタン」から保存やダウンロードができます。
テキストによる指示のみで、写真のイメージからPOPなイラストまで幅広い素材を短時間でサクッと生成してくれるのはデザイナーやクリエイターはもちろん、制作に関わるすべての人にとって画期的なものになりそうです。
最後に
「Adobe Firefly」はテキストによる指示の出し方にコツが必要そうですが、使いこなせるようになれば強力なツールになるでしょう。その一方でAIが現役のデザイナーやクリエイターの仕事を奪ってしまうのではないかという不安もありますが、あくまでもクリエイターの支援を行うものであり、デザイナーやクリエイターがより良いものを作るための素材として使ったり、新しいアイデアを生み出すためのヒントとなるものが得られるツールなのではないでしょうか。「Adobe Firefly」はまだまだ開発途中で、今後もさらに新しい機能が追加されるようなのでこれからも注目すべきツールであることは間違いありません。
筆者Y.S